【マハーバーラタ】ヴィヤーダ・ギーター(肉屋の詩)職業に貴賎なし!!のお話


今日のブログは、インドの詩の中にある
マハーバーラタというお話の中の一部を紹介します。

ヴィヤーダ・ギーター(=肉屋の詩)
職業に貴賎なし(主婦も凄いよ!!)というお話です。


(あらすじ)

森の中で、カウシカという行者(=修行している人)が瞑想をしていました。
カウシカは、バラモンという、最高位の身分の修行僧です。

そんな、高い地位の、カウシカが木の下に座っていたら
ツルが飛んできて、カウシカの頭の上にフンをおとしました。

腹を立てたカウシカは、ツルをにらみつけて焼き殺してしまいました。
(カウシカは、目で、にらむと殺してしまうという能力が備わっていたのです。)

カウシカは、目でツルを殺してしまったことに
ちょっと罪悪感を感じていました。

ある日のこと。。。

カウシカは、森から下りて、村へたどり着き
近くでみつけた家で、食べ物を求めました。
(インドでは、托鉢(=たくはつ)といって、行者は食べ物を村人から頂いて、その代わりに、お祈りや宗教的なことします。)

その家の主婦は、最高位のカウシカを待たせて
夫の身の回りのお世話をしていました。

カウシカは、玄関で待たされたままで
しびれを切らしておこりました。

すると、その家の主婦は、
「そんなに怒らないでくださいな。」
「カウシカ様の偉大さはよく知っております。でも夫は私にとって神様なのです。」
「自分の感情を、完全に制御できなければ(=自分の怒りの感情をコントロールできなければ)最高の得は得られないと思います。私をツルとおなじようにしないでください。」
と言いました。

それを聞いたカウシカはビックリ!
なんでツルを目で殺してしまったことを知っているのだろう。
そして、心のコントロールが出来なかった自分を見抜かれてしまった。。。

ドキッとしたカウシカは、素直に主婦に謝りました。

そして、もっと詳しくしりたくなり主婦に聞いてみました。
主婦は、「もっと詳しく知りたいのなら、お肉屋さんに行ってみてください。」
と言いました。

(解説)
インドではお肉屋さんは、階級の低いものとされています。
又、カウシカの地位であるバラモンは最も高い地位で、
会社で例えると、バラモンのカウシカは社長で、
お肉屋さんや主婦は、アルバイトのようなものです。

気になったカウシカは、お肉屋さん(=ヴィヤーダ)のところに行きました。

お肉屋さんのところにカウシカが訪ねていくと
「あの主婦の方があなたをよこしたのですね。」と言って家に案内しました。

カウシカは、主婦がツルを殺したことをしっていたことと、
お肉屋さんが、自分が来ることを知っていたこととで、
2度ビックリ!!そんな不思議さに心を打たれてしまいました。

お肉屋さんは、動物を殺してお肉を売っています。
カウシカは、殺生することは良くないこと。
そして良くない仕事だから、人としてもどうかと思われるのに
お肉屋さんは、人としての道徳や智慧のあるヴェーダンタ哲学の教えを説くことができ
心が安定して研ぎ澄まされている様子が修行僧のカウシカに伝わってきました。


不思議に思ったカウシカはお肉屋さんに
「このような仕事はにあっていないと思います。どうしてお肉屋さんをしているのですか?」
と訪ねました。

すると

お肉屋さんは、静かに答えました。
「カウシカ様。
この世に醜い仕事、不浄な仕事などありません。
人の正しい義務とは、それぞれの定められた本文を全うすることです。」

カウシカは、お肉屋さんにお礼を伝え
実家に戻り、甲斐甲斐しく、父母に尽くしました。


このお話は、家庭の主婦と、お肉屋さんが修行僧よりも、精神を練磨し、優れた人格を形成するように努めること。などがずっと進んでいたということを現しています。


家庭で、無心の奉仕をし続ける主婦は
カルマ・ヨーガ(行為のヨーガ)を実行しているのです。


「この世に醜い仕事、不浄な仕事などありません。」という言葉は、
「職業に貴賎なし」と同じ意味です。





[参考文献] マハーバーラタ 森の巻 (ヴァナ・パルヴァン第3巻)